また、これからの治療方針も時間をかけてご説明し、治療計画を立てます。
1.むし歯
CO(シーオー、要観察歯):平成7年度から学校歯科保健で用いられ、歯面の透明感が無くなり、白濁等が見られるのを言います。しっかりした歯みがきとフッ素塗布をすると、元に戻ります(再石灰化)。正しく歯みがきできないとむし歯になってしまいますので、定期的な観察が必要です。
C1:歯を削らなくて、歯の溝の部分にプラスチックを接着する方法が多く用いられます。
C2:歯を削り、硬いプラスチックを詰めたり、型をとって金属をセメントで接着します。
C3:むし歯が神経まで進行し、熱いものがしみたり、冷たい物がしみる事が多く、何もしていないのに、ズキズキ痛んだりします。通常、神経をとる治療をします。また、神経をとった後に感染して、根の先に病巣(根尖病巣)を作るときがあります。この場合感染根管治療を行います。歯科医にとってかなり面倒な作業ですが、再発を防ぐためにも、しっかりとした治療が求められます。
根の先に病巣(黒い部分。 骨が溶けている)が見 られる(平成19年5月) |
感染根管治療が終わっ たレントゲン写真。 (しっかりとした根管充 填がされた。骨はまだ 元に戻っていない。) |
術後1年半後のレントゲン 写真。根の先のの黒い部 分が白くなっている。 (骨が元に戻り、周りと 同じようになっている。 平成21年2月 ) |
C4:歯が崩壊し根のみの状態です。抜歯になります。
2.歯周病
最近、児童・生徒の1/3が歯肉炎(歯肉炎要観察者も含む)になっています。
お子様が正しい歯みがきの方法を覚える事が必要で、何度も何度もブラッシング指導します。お母さんの「仕上げ磨き」も必要です。
歯肉炎は歯の周りの骨(歯槽骨)に異常がなく、炎症が歯肉に限局している病気ですが、いわゆる歯槽膿漏は炎症が歯槽骨まで達して、歯槽骨が溶ける病気です。現在、成人の80%が歯槽膿漏に罹患をしているといわれています。
40歳以上の成人の抜歯の割合は60%以上が歯槽膿漏です。
歯槽膿漏はレントゲン、歯周ポケットの深さ、動揺度、歯肉からの出血等で診査します。
P1:ほどんど自覚症状はなく、スケーリング(歯石除去)を行います。
P2:ポケットの深さは、3~4mm程度、レントゲン診査で歯槽骨の吸収が明らかに認められる。スケーリングの後、歯肉に麻酔をしてSRPかPcur(歯肉の掻爬)をする必要があります。
P3:ポケットの深さが、5~6mm、歯の動揺が感じられ、歯みがき時に出血がみられる。スケーリング、SRP後、FOp(歯肉剥離掻爬術)等の手術が必要で歯の固定や咬合調整が必要です。
P4:歯がぐらぐらになり咬むのにも不自由します。抜歯です。
3.冠、ブリッジ(Br)、入れ歯、インプラント(自由診療)
神経をとった後は、歯がもろくなるので、通常は冠をかぶせます。
歯を削る角度は5度位です。傾斜が多くなればなるほど、維持が悪くなり、長持ちしません。富士山のような削り方ではダメです。
Brは歯を抜いた後、両側の歯を削る固定式のもので自分の歯と同じように咬めます。また、違和感が少ないことが長所です。
ただし、土台となる歯(支台歯)を削ることが最大の欠点です。
1本義歯は、歯をほとんど削らずに作る小さな入れ歯です。歯をほとんど削らない事(レストという部分を少し削ります)はいい事ですが、食事の間に動いたり、食物が停溜するなど違和感が大きい事が欠点です。
インプラント(自由診療)による方法は、骨を削って土台を作る固定式なので、横の歯を削らす、自分の歯のように咬むことができ違和感のない方法ですが、一番の欠点は保険がきかなくて高額の費用がかかることです。(詳細はインプラントの頁を参照してください。)
歯が数本無い部分入れ歯も一度大体の型を取り、患者さんのお口に合わせた、個人トレーという物を作り、それで最終の型をとって入れ歯を作ります。
総入れ歯はバネをかける歯がありませんので、真空状態にしないと入れ歯が浮き上がります。
そのためには、一度型を取り、咬み合わせを確認、ワックスで入れ歯の元を作り時間をかけて、咬座印象(保険診療でできます)という特殊な型を取る方法(頬の筋肉が動くラインを表現する方法)でやっていますので、通常の型をとる方法に比べて、吸い付きが格段いいのが特徴です。
また、上下一度に型をとると咬み合わせが狂うので、上顎を完成してから、下の入れ歯を完成するようにしています。
総入れ歯は、大きすぎても小さすぎても外れます。一番いい位置にマージン(歯肉頬移行部)を設定することが重要です。
4.小児歯科 ※フッ素塗布(自由診療)
フッ素塗布は、一般的な脱脂綿などによる塗布にくらべ、フッ素が歯にしみこみ易いイオン導入法を取り入れています。